第15回 進歩的なヒンドゥーイズム その2

― 公式記録から読み解く「スワミ・アベダーナンダはこう語った」から

4 「あなたはブラフマン、無限の精神である」
You will realise that you are the Brahman and the Infinite spirit if you can take this idea: “I am a child of God and not a child of a demon, not the child of earthly parents”.
「私は神の子であり、悪魔の子でもなければ、この地上の両親の子でもない」という考えを受け入れることができるならば、あなたは、自分がブラフマン、すなわち無限の精神(※)であることに気づくでしょう。


【 脚 注 】
※ the Brahman and the Infinite spirit ブラフマン、すなわち無限の精神
「無限の精神(Infinite spirit)」は、サンスクリット語のブラフマンの性質を英語で言い換えた表現。
「この世の両親の子でもない」という考えは、肉体的な血縁や、現世の善悪(神と悪魔)という二元論の枠組みを飛び越えて、「自分は最初から、神聖で無限なる宇宙の意識そのものである」と強く自覚を促している。
ブラフマンはヴェーダーンタ哲学における宇宙の究極実在であり、個人の本質であるアートマン(真我)と本質的に同一とされる。


5 「不滅の魂が持つ生来の権利」
The parents could not create your soul and, therefore, as an immortal soul, you are the child of God who rules the whole world. If you are a child of God, what would be your birthright? It will be measured by wisdom, conquest and triumph over all evil and suffering.
両親は(肉体を生み出すことはできても)あなたの魂を創造することはできませんでした。それゆえ、不滅の魂であるあなたは、全世界を支配する神の子です。もしあなたが神の子であるならば、あなたの生まれながらの権利とはいったい何でしょうか?
それは、知恵と、あらゆる悪や苦しみを克服し、勝利することによって測られるでしょう。

6 「兄弟愛を超えた『普遍的な一体性』の基盤」
If for one moment you realise that you are a child of God and that others are also children of God, then you will have unity of purpose. And if you know that happiness is the goal of all, you will stand on that broad and universal platform of brotherhood and not only of brotherhood but also of universal oneness.
もし、あなたが、自分は神の子であり、他の人々もまた神の子であることをほんの一瞬でも悟ることができるならば、あなたは目的の一致を得るでしょう。そして、幸福がすべての人の目標であることを知るならば、あなたは兄弟愛という、広く普遍的な場の上に立つことになるでしょう。それは兄弟愛であるばかりか、普遍的な一体性の礎でもあるのです。


【解 説】 西洋のキリスト教社会へ放たれた、原罪を否定する『不滅の魂』の福音
アベダーナンダが語った「私は悪魔の子ではない(罪深い存在ではない)」という言葉は、当時の西洋社会において極めて強烈な意味を持っていました。
欧米では長く、「人間は生まれながらに罪深い存在である(原罪)」という教理が一般的だったからです。
アベダーナンダは、「あなた方の本質は罪びとなどではない、両親すら生み出すことのできない、永遠に汚されることのない『不滅の魂』であり、神そのものである」として、人々の尊厳を提示しました。
さらに彼は、「人間は皆兄弟姉妹である」という一般的な兄弟愛の倫理から、もう一歩奥深くへと聴衆を導きます。
「兄弟姉妹」という関係性には、まだ自分と相手という「二元論(分離)」が残っています。
しかし、彼のいう「普遍的な一体性(ユニバーサル・ワンネス)」は、「あなたの中にいる神と、私の中にいる神は、完全に同じ一つのものである」という不二一元論の極致を指していました。ロンドンやニューヨークの聴衆は、この圧倒的な自由、解放感と、生命の絶対的なつながりの哲学に魂を揺さぶられたのでした。

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