第14回 進歩的なヒンドゥーイズム その1

― 公式記録から読み解く「スワミ・アベダーナンダはこう語った」

Progressive Hinduism-harbinger of universal oneness
進歩的なヒンドゥーイズム(ヒンドゥー教)――普遍的な一体性の先駆者

1 「あらゆる真理を取り込む吸収力」
Hinduism has always shown the most absorbing power: Today progressive Hinduism will show that the power is not lost that it is still able to absorb the truth and the teachings of all other religions into its own body.
ヒンドゥー教は。常に最も強い吸収する力を示してきた。今日、進歩的なヒンドゥー教(※)は、その力が失われておらず、依然として他のあらゆる宗教の真理や教えを自らの体系に取り込むことができることを示すであろう。

【 脚 注 】
※ 進歩的なヒンドゥー教(progressive Hinduism)
ラーマクリシュナやアベダーナンダ、ヴィヴェーカーナンダらが19世紀末から20世紀にかけて展開した思想運動は、「ニュー・ヒンドゥイズム(Neo-Hinduism)」や「ネオ・ヴェーダーンタ(Neo-Vedanta)」、「ヒンドゥー教改革運動」と呼ばれる。
その特徴として、主に以下の3つを挙げることができる。
・ 包括性
キリスト教やイスラム教、ゾロアスター教などの教えも「すべて同じ一つの神から現れたもの」として認め、時代に合わせて古い殻を脱ぎ捨て、世界を包括していく姿勢を「進歩的」と表現している。
・ 実践性
 俗世を捨てて個人が解脱を目指すのが伝統的な修行であったのに対し、「人間のなかに神を見る」「目の前の貧しい人や困っている人に奉仕することが、最高の神への礼拝である」として、「実践的ヴェーダーンタ」の姿勢を「進歩的」とする。
・ 調和性
 前回の3で「In this age of scientific rationalism科学的合理主義のこの時代において」としていたように、盲目的な信仰(ドグマ)を嫌い、「科学の実験と同じように、宗教や神も実験・体験して証明できるものである」として、近代的な西洋の合理主義思想とヒンドゥー教の精神性を融合させた。

2 「宗教の壁を超えた神の子ら」
We should absorb the truths taught by Mohammed and Jesus the Christ and tell that that is our religion. We should absorb the truth taught by Zoroaster and say that that is our religion. Because we are neither the Hindus, nor the Mohammedans, but we are all children of God. God is manifesting through us and, therefore, we are all brothers.
私たちは、ムハンマド(※1)やイエス・キリストが説いた真理を吸収し、それが私たちの宗教であると宣言すべきです。また、ゾロアスター(※2)が説いた真理を取り込み、それが私たちの宗教であると宣言すべきです。なぜなら、私たちはヒンドゥー教徒でもなければ、イスラム教徒でもなく、皆、神の子だからです。神は私たちを通して現れていて、それゆえ、私たちは皆、兄弟姉妹なのです。

【 脚 注 】
※1 ムハンマド(Mohammed)
7世紀にアラビア半島で活躍したイスラム教の創始者であり、最後にして最大の預言者。

※2 ゾロアスター(Zoroaster)
古代ペルシア(現イラン)の預言者であり、世界最古の一神教の一つとされるゾロアスター教(拝火教)の創始者。

3 「社会、全生命への奉仕」
We must not stop simply after doing something that will help our own people, our own nation, but we must go on doing things that will help not only our own nation but all nations; not only all human beings but all living creatures, lower animals, even plants.
私たちは、自国民や自国を手助けすることを行っただけで満足して、歩みを止めてはならず、自国だけでなくすべての国々、すべての人間だけでなく、すべての生き物、下等動物、さらには植物に至るまで、あらゆる存在を手助けすることを続けていかなければならない。(※)。

【 脚 注 】
※ 普遍的な一体性(universal oneness)
すべての生命の根底には同じ一つの神聖な実在(アートマン)が流れているというヴェーダーンタ哲学の核心から導き出される慈悲の思想。
人間だけでなく動植物をも神の顕現として等しく愛し、奉仕する姿勢に貫かれている。

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