17.持続するダーラナの心
今日のお話は、昨日の「花嫁行列と猟師」の続き、釣り人の話です。
さっそく、訳文を見てみましょう。
釣り人が池で釣りをしていた。
アヴァドゥータ(偉大なタントラ行者)が近づき、声をかけた。
「兄弟よ、あそこへ行くにはどの道を通ればよいでしょうか。」
その時、釣り竿の浮きがわずかに揺れ、
魚が餌をついばんでいるようだった。
男は何も答えず、
心のすべてを釣り竿に集中させていた。
やがて魚が釣れると、男は振り返りながら、言った。
「先生、何をおっしゃっていたのですか?」
アヴァドゥータは深く敬礼し、静かに言った。
「先生、あなたは私のグル、師です。
私がパラマートマン(※)を瞑想するとき、
あなたのように、
祈りが最後に成就するまで、他のことに心を奪われないように導いてください。」
昨日の集中していた猟師の話の続きですね。
集中というのは、一瞬の静止ではなく、目的が果たされるまで続くもの。
瞑想が成熟するプロセス。猟師の集中が「始まり」なら、釣り人の集中は「持続」ですね。
この二つは、 「心が一点に沈む」 → 「一点に留まり続ける」 というヨーガの進化を描いているようです。
この二つが重なるとき、 心はディヤーナ(禅定)へと自然に移行するのでしょう。
そして、アヴァドゥータは、悟りを得た者も、日常の中に師を見出しています。
真理は聖典の中だけでなく、人々の行為の中にも息づいている、
というラーマクリシュナの思想を映しているようです。
【用語の説明】 パラマートマン(Paramatman)
インド哲学やヨーガの教えにおいて、「宇宙の根源的な力(ブラフマン)」が個人の内に宿った「至高の魂」や「真の自己」を指す。万物の根源であり、生きとし生けるものの内側に存在する、純粋で永遠の魂のこと。個々の魂は「海から生まれた小さな波」に例えられますが、波の本質は同じ「海水」。この波が個人の魂(アートマン)であり、大元の海全体がパラマートマン。パラ、至高の、アートマン。


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