~ 岩だらけの斜面こそ、人生の足場 ~


【コラム】岩だらけの斜面こそ、人生の足場

—— ニコラス・レーリッヒ『アジアの心』が教えてくれること

 フロントページの背景を飾る絵のことで、レーリッヒがでましたので、彼にまつわる面白い話がありますので、このコラム欄で、その話をご紹介しましょう。

~ 人生の困難は、乗り越えるべき障害なのか。それとも成長のための足場なのか ~

ロシアの画家・探検家・思想家であった Nicholas Roerich は、その人生を通して一つの答えを示しました。彼が愛した言葉があります。

「なだらかな斜面よりも岩だらけの斜面を登る方が容易である。岩は足場となり、そこからさらに上へ進むことができる。」

そして、その思想と体験が色濃く刻まれているのが、彼が遺した著作の中で、唯一の邦訳書が『Heart of Asia(アジアの心)』です。

この書を紐解くとき、私たちは単なる中央アジアへの紀行文ではない、一人の求道者の精神の深淵へと足を踏み入れることになります。

本作の英書序文で、レーリッヒ美術館の元館長ダニエル・エンティン氏は、レーリッヒの人生の核心をこのように言い表しています。

(以下、引用)
「障害に感謝せよ。障害を通して人は成長するのだから」 ニコラス・レーリッヒはそう口にしていました。彼自身の人生は、まさにその言葉の体現でした。表面上は創造性と冒険に満ちた華やかな軌跡に見えますが、その影には常に困難がつきまとっていました。なぜ彼は、あえて平穏な道ではなく、過酷な茨の道を選んだのでしょうか。
彼は不屈の登山家でした。彼が愛した格言に、「なだらかな斜面よりも岩だらけの斜面を登る方がた易い。岩は足場となり、そこから上へ進むための力を得ることができる」というものがあります。本書は、まさに人生という壁に立ち向かい、困難を自らの足場へと変えていった一人の男の物語です。
レーリッヒにとって中央アジアは、古来の叡智が眠る地であり、自らを生まれ変わらせるための「地球の中心」でした。彼が追い求めた「善の種」や「シャンバラ」とは、単なる夢想ではありません。それは、人類が抱える絶望や破壊の彼方にある、真の自由と調和を見出すための実践的な問いなのです。
本書は、私たちにとっての「心のガイドブック」でもあります。高い峠を越え、シャンバラを探し求める旅路は、私たちの内側にも存在しています。レーリッヒが障害を乗り越えて発見した勝利と解放のプロセスは、今、困難のただ中にいる私たちの歩みを静かに照らしてくれるはずです。
ダニエル・エンティン (1990年10月、ニューヨークにて)

今日出てきた、『アジアの心』、そしてエンティン氏の序文に出てきた「シャンバラ」にはさまざまな伝承、面白い話があるのですが、今日はこのくらいにして、それはまた、別の機会に触れることにしましょう。では、また。

コメント

タイトルとURLをコピーしました